アカデミック雑談会 (Academic Dialogue Networks)

多分野の人とアカデミックな対話を触媒にした定期的なつながりの場

<第9.2回 アカデミック雑談会 online>

皆さまこんにちは!

先日オンラインで開催したアカ談のまとめです。

まず「時間的/心理的余裕を捻出して多様なことに関心を持ちたい」という感想があり、アカ談が多様な関心の入り混じる場になっていることを(改めて)感じました。

「重なりも違いも楽しめました」という感想がまさに、アカ談に参加されている方のスタンスなのだと思いました。だからこそ、経営学、数学、法学、教育学、物理学といった、一見すると会話の糸口が見つけにくそうな方々で、雑談が盛り上がるのだと思います。

また「何か具体的なテーマとシミュレーションのプロトタイプを作ってみてまた議論してみたい」という感想もあり、色々と今後にもつながっていく会だったのではないでしょうか。

共同主催者としても、いつもながらとても楽しかったので、また近々やります!

以下、皆さんの自己紹介とふりかえりです。


とき・ところ

7/11(日) 19:30-22:00 

 

参加者

 6名

 

―――自己紹介―――

関心の変遷(始点→終点)

ミクロ経済学→プラットフォーム・ビジネス×研究手法いろいろ(継続的インタビュー、エージェントベースシミュレーション、NLPなど)

国語教育(言語活動)→教育工学

数学→金融・データサイエンス

法学会社法→労働法や訴訟

刑事司法→法とデザイン→ブロックチェーン

物理全般→子育て

本1冊

探究する精神―職業としての基礎科学

自律する子の育て方(工藤勇一,青砥瑞人)

統計的学習の基礎

波の音が消えるまで(沢木耕太郎著)

The New Jim Crow

ミステリというなかれ

―――ふりかえり―――

1. 話をしていて思ったこと / 考えたこと / 気づいたこと / 疑問に思ったこと

教育現場と法律学で意識している部分が随分似ていた印象でした。道徳と法律、長期的な指標の不透明さなど共通点が多く刺激的でした。
また、博士過程の者同士で将来への不安の持ち用が各者それぞれで学問間の違いがあってきょうみ深かったです。

・時間的/心理的余裕を捻出して多様なことに関心を持ちたい。
・経済学と経営学は大きく違う
・なんとかなる

・日本やドイツなどのヨーロッパ系の刑法はカントが根底にあることから,責任を個人に求める傾向が強い。一方でアメリカは行動経済学を取り入れたより有効な組織そのものへの責任を追及する。
・いじめの問題など,「構造的に発生してしまう」現象は,教師・生徒・生徒の親というエージェントでシミュレーションすることはできるのではないか(ただし心理学的な仮定は必要最低限でシミュレーションする)。さらに近年良しとされている介入の仕方もチェックできるのではないか。
・教育においていかに当事者意識を持たせるかが大事。とはいえ先生側が持つ「正解」を,あたかも持っていないかのようにふるまうことが常に良いとは限らない(もったいぶらずに教えろと感じる)。カリキュラム内容を詰め込むというゴール自体がある限り,すべてのことに当事者意識を持たせることは逆に非効率となる。

一見遠いようでも重なっていることに気づけると特に楽しい/行動経済学やマルチエージェントシステムなど分野横断で使われている枠組みが異なる領域の話題の接着剤になる/行動経済学の刑法と教育への応用について,民族の持つ文脈やその集団の特徴によってデザインをどのように考えていくとよいか?

情報活用能力を測定することで教育の効果や伸ばし方がわかる。オンライン留学だと留学の最初コスト(例:現地での生活に慣れる)がなくさっとプログラムに入れる。イギリスは学部3年、修士1年、PhD3年でリベラルアーツがない。

2. 明日からしたいこと

問いのデザインに関する本を読もうと思います。

時間の棚卸し

組織における人の心情による意思決定をシミュレーションに落とし込む方法を考える。

何かしらのテーマを考えるときに本流以外の領域も積極的に調べるようにしてみたいなと思いました。

マイペースで研究

3. 今日の会へのコメント

あっという間に時間がたっていて楽しかったです!

とても楽しかったです。

法学・教育学・組織論・デザイン学の交錯領域について話すことができてとても面白かった。何か具体的なテーマとシミュレーションのプロトタイプを作ってみてまた議論してみたい。

違う領域でも倫理とか問いのたて方,コミュニティの作り方などは話せますし,重なりも違いも楽しめました。ありがとうございました。

ちょうど同じくらいのキャリアステージの方が多く、分野ごとの研究者の職業選択についてのお話がおもしろかったです。またやりましょう!

 

(イナダ)